唾液の重要性
新潟市東区の歯科医院 「くぼた歯科クリニック」 歯周病専門医の久保田健彦です。
9月も最終週となりました。NHKの朝ドラももうすぐ終了です。秋風が涼しく感じられるようになりました。
先日、ある患者さまより、「唾液(つば)」について質問がありました。
そのときに、お答えした内容を久しぶりにブログとして書いておこうと思います。
Q:先生、唾液って大切なんですよね?
A:そうですね。まず、お口の中で言えば、
1)唾液緩衝能というものがあります。歯科の2大疾患のうち「う蝕(虫歯)」に対しては、食後酸性となるお口の中の環境を唾液(緩衝能)により、中性にして歯が溶けないように守ってくれます。
2)歯周病に対しても、唾液中には様々な免疫物質が含まれており細菌感染から守ってくれます。「傷口に唾をつけると治る」と昔から言われるように、お口の中の傷が治りやすいのは唾液の効果もあります。一方、歯周病が治療されず重度になっている方は、唾液中の歯周病菌により誤嚥性肺炎の原因になったり、腸内の細菌叢(フローラ)に悪影響を与える可能性があります。
3)口内炎や粘膜にも、唾液中の粘液成分が保護として働くので、(シェーグレン症候群など)自己免疫疾患や(降圧剤など)常用薬の副作用などで唾液が減ったりして、お口が乾きやすくなると痛みとして感じたりします。
4)唾液の自浄作用で、食べかすや細菌(プラーク)が洗浄されることで口臭を抑えたり、虫歯や歯周病・呼吸器感染症などになりにくくなります。
5)お口(唇・歯・舌・喉まで含めて)は、食べ物を消化して栄養を吸収するための重要な器官です。よく噛むことで唾液の分泌はより高まります。唾液中にはアミラーゼというデンプンを麦芽糖に分解する酵素も含まれ、健康を維持するための栄養を得るための重要な働きがあります。
6)まとめると、唾液は外界と最初に触れる器官である口腔に(耳下腺・顎下腺・舌下腺などから)分泌される体液であり、消化管を通じて、胃・小腸を経由して栄養を獲得するとともに、腸内細菌のバランスやフローラにも影響し最終的には大腸から肛門・体外へ排出されるまで、重要な役割を果たすもので、口腔はもとより全身の健康にとっても大切なものなのです。
というようなことを、お話ししました。
唾液をしっかり出すためには、よく噛むことが大切ですが、メンタルや自律神経のバランスも重要(副交感神経優位で唾液が出やすくなります)ですし、睡眠や毎日の生活習慣が大切です。
どうか 全身の健康のためにも「先ずはお口の健康から」しっかりと、治療してメインテナンスしていきたいものですね(^^)
また、お聞きになりたいことがありましたら お気軽にお訊ね下さい。
お時間の許す限りお答えしたいと思います。
今回は「唾液の効用」についてお話ししました。
今後とも、より良い歯科医療をご提供できるよう努力して参ります。
くぼた歯科クリニック